Vol.52 カナディアンロッキーのアイスクライミングの注意点その1
ご無沙汰してます。谷です。
さて年の瀬ということで、皆さんスキーにクライミングに忙しいと思いますが、
今回はカナディアンロッキーでのアイスクライミングについて書きたいと思います。
え、そんなのもう知ってるよってそうですね。カスケードフォール、プロフェッサーフォール、ボージョーレレフトにポーラサーカスでしょ。ですよね。
カナディアンロッキーはハッキリ言ってハイキングや登山、スキーよりもアイスクライミングが世界で一番の場所です。
スキーは?って思った人はロッキーの西側の山脈は雪最高すけどね。ロッキーは3月以降です。カナダは面積、日本の27倍ですからカナディアンロッキー=カナダになりえません。
ここ注意が必要です。これから話す事はカナダでもウィスラーでは通用しません。
ウィスラーは海に近くより日本に近い雪質だからです。
ちなみに日本でも先人の方々が沢山カナダのアイスの投稿してくれてますし、僕がカナダを知ったのもH氏のガイドブックやE氏がMUSASHIを登りに来たロクスノの記事だった気がします。
なので今回はルートというかルートの情報、雪崩情報やロードコンディション、ウェブカメラなど、アイスクライミングをするのに絶対に必要になる情報源を紹介したいと思います。
一回で終わらない場合は数回に分けます。
なのでガイドを頼めれる人は別に読む理由ないですね。
ご自身で登りたい方、これからアルパインやアイスクライミングをやりたい若者へ
今回の投稿をしたいと思います。
心配な方はガイドを頼むのが一番です。安心安全。
まず雪崩の状況からですが、カナダ山岳ガイド協会公認のApprentice Alpine guideの立場から言わせてもらえば、カナディアンロッキーは低温で雪が非常に脆弱で小雪の地域になります。雪崩の危険度が非常に高く、しかも降雪が一か月なくとも雪崩れます。
かなり危険度が高い場所だと思ってださい。
僕もカナダに来た当初はそんなこと何も知らず自分の感覚で登ってました。
そしてメンバーの山田トシとともにカーテンコールで危うく死ぬほどの雪崩あってます
ちなみに冒頭に述べたルートもすべてルートに上部に大きなカール地形を持っていて非常に危険です。
ボージョーレフトとライト。見てわかるようにルートの上部が大きなカール地形で雪を沢山ため込んでます。もし雪崩れたら..。
一昨年もポーラサーカスで流されてクライマーが亡くなっています。特にポーラーサーカスなど時間がかかるルートは、慎重に雪崩のコンディションを見極めないといけません。
日本人は雑誌の影響でポーラーサーカスが大好きですが、雪崩のコンディションによっては非常に危険なルートだと思ってください。登りだけに集中したいならゴーストエリアが雪崩の危険がなくソーサラー、ハイドロフォービア、ビックドリップ等、5級6級でポーラサーカスと同じくらい有名なエリアで登りのオプションもたくさんあり最高です。(残念ながら日本では有名じゃないですが)
Ghostのアイス、アナロキシア
前の写真と比べて見てわかるように雪崩の危険なしです。
こちらもGhostのウェザリングハイツ
雪崩の心配なし。
日本の常識では雪が少ない地域は、雪崩れないと思っている人が多いそうです。
残念ですがこれは大きな間違いです。低温で乾燥していて小雪の地域の方が危険度が高く、雪の不安定性が持続します。日本の本州で言うと八ヶ岳ですね(僕が小屋番の時も赤岩の頭でありましたし、昨年も阿弥陀でありました。今まで起こったことがないというのはもう通用しないかもしれません)
またスキーヤーは基本、雪に対して勉強しますし、(滑るため)講習などお金をかける傾向にありますが、クライマーはお金をかけないことが美徳とされているのもありますし、雪崩地形に入らないとので大丈夫と思い込んでる方もいます。
そして降雪後、一日晴れたから安定したなと冬山に出かけていくのです。この常識は日本だけです。
僕ら日本人は世界でも最高にいい雪質の国に住んでいることを認知しなければいけないかもしれません。
僕らは世界の中でも、とても恵まれているのです。
海外に出かけていく日本のクライマーの多くの事故は雪崩です。
これが何を意味するかというと、日本はクライミング能力や技術は世界でトップレベルなのですが、それ以外自分の住んでいる日本という国がベースになって考えているので、天候や雪質など知識の部分をその国にアジャストする必要性があるわけです。
日本の雪は安定性が高い、これは日本のアルパインクライミングするすべての人が共通理解としてあればもっと安全性が高まりますよね。
つまり他の国に出かけていく場合、日本で考えているよりも雪に関する危険察知レベルをしっかり上げる必要があるということです。
あとスキーヤーが雪崩地形を滑っているのは数十分に対しアイスクライマーは数時間、下手すれば一日中その危険にさらされています。
これも改めて考えると、僕たちの方が危険です。
ビーコン、プローブ、シャベルを持たず登っているという危険度を認知すること、せめて取りつきまではもっていきましょう。登攀中でもルートによっては雪崩装備を携行するのがカナダではすでに常識になっています。そしてそれによって助かった事例がもうすでに出てきています。
あなたがビーコンを持っていなかった場合、救助隊は探しようがありません。
よく考えてくださいね。
ロッキーのアイスクライミングは他の国々と違いアルパインエリア(森林限界以上)
ですることが多いです。木がないので雪崩れやすいわけです。
これ奥がマーティソンフォールですね。雪少ないですね。でもルート最後の雪庇が崩れたら?
一日中あの雪庇の下にいるなんて嫌ですね。
ちなみに登っているのは先輩ガイドのクリス、アーウィン。めちゃつよクライマーの一人。
じゃどないすんのって話ですが、雪崩のない、または少ないルートを選ぶのが一番最初です。
雪質は変化しますし学習するのに時間がかかります。
ですが地形は基本変わりません。雪崩地形がないアイスルートを選びましょう。
そうすれば雪崩予報が赤信号を出している日でも登ることが出来ます。
ここにリンク張っときます。
見方ですが、
緑のルートは雪崩の危険が無い、および極めて低い。
青のルートはルート上部のある程度の雪崩地形ある。
黒のルートはルート上部に大きな雪崩地形がある。
バンフ、ジャスパー国立公園
ゴースト、カナナスキス、アルバータの州立公園https://www.albertaparks.ca/media/2161487/ates_grid_list_iceclimb.pdf
英語ですが、行くルートの名前くらいは探せると思います。
次に雪質について考えた場合、学習に時間を要します。
特に弱層などを見極めるにはその国特有の気候に詳しくないとすぐに理解するのは厳しいでしょう。そこで雪崩予報がカナダでは発達していて参考になります。
ちなみに雪の安定性ですが雪をコンクリートに例えるとわかりやすいです。当たり前ですが薄いコンクリートは弱く、脆いです。つまり雪が少なく乾燥して雪が解けて結合しない地域はとても不安定な地域になります。逆を言えば大きなコンクリートの建物は強いですよね。つまり、雪が多ければ多いほど、雪自体がくっつき安定していきます。吹雪の後、一日置けば安定する方向に向かっていきます。
なので日本に当てはめると北海道の内陸部、八ヶ岳は雪崩れます。というか実は相当雪崩のある地域といえます。
カナディアンロッキーは太平洋のあるバンクーバーから約1000㎞離れており、その間に大きな山脈が2つありますので、そこでほとんどの雪が降り、カラカラの空気が通り過ぎていき山脈になります。ウィスラーなどのカナダ沿岸地域と大きく異なります。
何度も言いますが、カナディアンロッキーは雪が少ないです。
そして雪崩れます。降雪が一か月なくとも雪崩れます。
むずかしいなと思う方は現地ガイドの頼みましょう。すべて判断はやってくれます。
最初の3日間くらい頼み、情報を聞いて残りの一週間自分で登るとかいいと思います。
話はそれますが、カナダ、アメリカの国立公園は他国の国際山岳ガイドは直接ガイドできません。国立公園のガイド資格とライセンスを必要とします。
もし何かあったら友達って言ってくださいみたいな話があった場合、気を付けてください。
事故があったとき保険等の問題が出てくる可能性があります。
カナダのアイスクライミングはカナダに住んでいる現地ガイドに頼むのが一番です。
話を戻します、雪崩予報リンク張っときます。
見方は緑、黄色、オレンジ、赤のような視覚的にわかりやすいです。
もっと詳しく知りたい人はプロの講習会に参加しましょう。
雪崩予報サイト、http://www.avalanche.ca/map
バーチャルリアリティーってルートです。
コンディションさえつかめば、グレード6の世界が待っている。
登っているのは僕。(他人の写真を無断で使っているわけではないので一応説明しときます。)
これ以上はメンバーの秋山裕司が開催する雪崩講習会出るのも手かなと思います。
日本でもJAN(日本雪崩ネットワーク)が色々なイベントを開催してくれてます。
無料のものもありますので、覗いて見るのもいいかと思います。
教えてもらうのもとてもいい経験になり視野が広がり
より安全により楽しく山を登ることが出来ます。
長くなったので一回ここで切ります。
次はカナディアンロッキーの天気、ルートまで道のコンディションなどのサイトの紹介できたらいいすね。
こんな素敵なオーロラの下アイスクライミングが出来る?これもロッキーの魅力の一つですね。
これもアックス挙げてる方は僕です。
ではよいお年を。