Vol.45 カナダで暮らしながら自分の登りをする難しさ。
ご無沙汰してます谷です。
先日今年一回目のバックカントリースキーにメンバーの裕司さんと行ってきました。
10月末でスキー出来るなんて氷河があるからですね~。
約8か月ぶりに履くスキーはまだまだ自分の身体とは全く別物で、違和感が半端なかったです。写真は最後の登りで全員ヒイヒイいっている感じです。
早くまた自分の足と一体化させていきたいものです。
さて今回はちょっと真面目な話をしようかなと思います。
テーマはいかに外国に住みながら山に登り続けることが困難かということ。
海外に住んでみたいなと思っている若手クライマー、スキーヤーの人には聞きたくない話かもしれませんが…。
でも避けて通れませんからね、少しでも役に立てばという話です。
最初に言ってしまうと山を真剣にしている人ほどカナダでは暮らしながら登るというのかなり大変です。
もしあなたが31歳未満で『一年だけ』ちょっと働きながら登りこみたい、滑りこみたいと思っているなら、カナダは最高の場所になるはずです。
それは今まで書いてきたようにビジタービザでの短期の滞在や、ワーキングホリデービザを使ってなら『車』さえ買えば、もうそこは天国です。
パートナーの見つかりやすさはもう簡単すぎてビビりますし、スコーミッシュには登りたい課題がいっぱい。バカブーでのアルパインクライミングは世界に通用するでしょう。ロッキーでのアイスクライミングや氷河スキーはどのルートを選んでも世界トップクラスです。
なので足になる車は絶対買いましょう。
話はそれましたが、これが暮らすとなれば話は別です。とてつもなく難しくなります。
この話をする前に言っておきますがこの話題をカナダ人に聞いたり(僕ら日本人、日本の就労ビザや外国人労働者がどうやって許可をもらってるか知らないですよね。)過去に永住権を取った人の話を聞いてもあまり意味がありません。
今、現在永住権に向かって動いている人、今年取った人に聞くのはいいですが2年前以降の話はルール自体が変わっているので参考になりづらいです。
そしてこのブログの日付も重要です。今日話す話題は今日現在の情報ですから、今後もっと難しくなるかもしれません。あらかじめ頭に入れておいてくださいね。
さあ始めましょう。
まず暮らすってことはお金を稼いでいかないといけない分けですが、そのためには
僕たち外国人は就労ビザが必要になります。ちょっとクライミングのレスト日に皿洗いして、食費稼ごうなんてヨセミテ黎明期の日本人の大先輩に聞いていたあなた、それ不法就労です。捕まります。
カナダでは就労ビザを企業に出してもらうというのは2013年以降ものすごく難しくなりました。
企業は政府に申請するにあたり$1000負担しなければいけない上に、スキルドレベルB以下だと認可すらしてくれないケースがあります。
スキルドレベルってなんすかって話ですが、医者や弁護士って誰が見てもすごいってわかるじゃないですか、つまりレベルAです。
Aは基本的に4年大学を出て日本で言う修士号や博士号がないとなれない職業です。
Bは2年の大学や専門学校などに行っていて資格がなければできない仕事。
CとかDとかEは、高卒みたいな感じです。
要はサービス業(ガイドもここに含まれます)とか飲食は例外を除いて全部C以下ですね。カナダで日本人が経営者の会社は基本的にC以下になってしまいます。
2012年以前は簡単に出たものが今はレベルC以下だと基本、就労ビザがでなくなりました。
またC以下の職業からは永住権は申請できません。
つまり仮に就労ビザが運よく出てもまず1年未満(昔は2年とか出たんですけどね、今は残念です)
そして一生永住権に申請できません。
じゃ就労ビザを延長し続けたらいいと思う方いますよね。
これも4年間が最大で4年働いたらカナダでは4年間働けない制度が2011年から施行されています。
まとめると、就労ビザの下ではまず出してもらった企業でしか働けない。収入が足りないからほかでもバイトしよう、これ出来ません。
当たり前ですがカナダ国民を雇わずに外国人を雇うわけですから、休みは最低限しかもらえません。国が定めた労働時間をクリアしないといけないんです。
働くために滞在してるわけですから。つまり長期遠征基本出来ません。
さらに4年の間に永住権を申請しなければいけない。これ外国人が経営者の会社等では基本
出来ません。そして4年頑張って働てもカナダ政府はあなたいらないですこの国にという感じなんですね。
えーじゃ2011年以前ならって思った方、2011年以前なら本当にまだ可能性はあったんですね色々。今の若者残念。これはもうタイムマシーンをブルマに作ってもらうしかないですね。
さてこれつまり自分の登り、滑りをしながらこの環境を耐えるってことは金銭面、時間面、精神面でほぼ不可能だといえます。本気の自分の登り滑りは出来ないんです。
この国は。永住権を取るまで。
そしてなんかここまで書いてたらすごい学歴社会ですねって感じですよね。
カナダってもっと自由な国かと思ってたよと思いますよね。
カナダの山の人たちは学歴はあまり関係ないのですが政府がそうなんです。
こればっかりはどうにもならないですね。国と喧嘩するしかない分けです。
ちなみに余談ですが永住権の申請には職業資格だけじゃなく大卒の方が有利です。
まず暮らそうかなと思っている若者はワーキングホリデービザ(このビザはオープンワークビザとも呼ばれどこの会社でも何件自由に働くことが出来ます。)の間にビザを出してもらう関係を築くためにしっかり働いていなければいけないってことですね。それかカナダで大学に行くこと、大学に行った年数分だけオープンワークビザが貰えます。ですが学生はめちゃめちゃ勉強しなきゃいけないですから、ここでもまた要は登れません、あんまり(涙)
まあスポートクライミングだけでいいならある程度登れるかもしれませんが、カナダはシーズンが短いですし、質で言っても日本の方がボルトルートだけなら間違いなくいいですね。
ここまで書いててうんざりですが、じゃ無理ですねって話なんですが、つまりはまあ登り滑りがしたいなら観光ビザで6か月滞在してそのままアメリカへ3か月滞在、9カ月クライミングやスキーすれば十分ですよね。
そして31歳以降の方も北米の登山を十分楽しめるわけです。
でも数か月いるとやっぱりここで一生暮らしたいと思うわけですよね。
そういう若者は最初から計画的に行きましょう。レベルB以上の仕事について1年以上は働きましょう、そうすれば永住権の申請の第一歩が踏み出せます。ただし第一歩ですよ。とれるかは保証外。それかこっちで大学行きましょう。これはいい方法なんで。
ちなみに永住権の審査は早くても2~3年かかります。
本当に登りを中心に人生を生きていくなら日本にベースがあって年一、二回海外に長期で登りに行く方が『圧倒的に』うまく、そして強くなります。
日本人は日本人を応援してくれます。日本で真面目に登っていればいい出会いもあるでしょう。
ですが海外ではそうはいきません。
アルパインクライマーは経済的に安定することが一番の上達への近道と先輩に聞いたことがあります。まさにその通りと思いますが、外国だとそれが更にとてつもなく重く難しく圧し掛かってくるのです。
格差社会のカナダはロースキルドの人では稼げないですしね…。
本当に大変。
山に集中するなら、ビジタービザが一番。
6か月ありますから3月にキャンモア、バンフ来てアイスや氷河スキー。
こんな大氷柱も登れますよ!!
カナダ人のカメラマンと登るのも楽しい。山に入れば出会いがいっぱい、学歴不問です。笑
夏になればロッキーとバカブーでビックルートへチャレンジ!!
9月、カナダのビザが切れかかったらアメリカへ!!カナダはもう寒い!!
アメリカはヨセミテやインディアンクリークのクラック天国が僕らを待っている
勿論秋に来て、春アラスカに出て帰るってのも大有りですよね。カナダ最高!!
こんなタワーも登り放題!!
さて、結論ですが、クライマー、スキーヤーがカナダに住みたくて自分の登り滑り中心にした生活をしかった場合、カナダ人と結婚、永住権を持っている日本人と結婚、親がお金持ちや永住権を持っている以外無理ですね。笑
話は逆になりますが、日本にBCスキーのガイドを正攻法でビザを取ってる外国人は本当に大変ということも言えます。日本は厳しい国なので。鎖国してるって言われても仕方ないですね。
二重国籍も認めないので、優秀な外国人もほとんどあきらめるしかないでしょう。
優しくしてあげて下さい。
書いてみると気づきますが、僕のようにそれでももがき続ける登り続けるってのはある意味バカです。
それでも暮らしも登りも挑戦したいって方はいつでも連絡ください。では!!