Vol.37 山と子育てについて③
ある高名な完全燃焼系山スキーヤーは最近の日記でこう書いていた。
自分には四人の子供がいたが育児に参加した記憶はあまり無くてほとんどかみさんまかせであった。今時そんな事は絶対許されないらしい。(中略)赤ん坊と山を天秤にかけるとどうしても後者に軍配が上がってしまう。体力が無くなっても孫守りは出来るが山はそうはいかない。行くしかない。
さすがはレジェンドである。
昨今は確かに核家族化が進み、各世帯では子育てを担う人材が不足している(直近の国勢調査では1世帯当たり人員は 2.38 人と減り続けている)。また「子育ては母親が行うもの」というような家父長制的考えは過去のものとなり、多種多様なフェミニズムが生まれ、男子の多くは環境に適応し、草食化した。一方で労働時間は減少傾向にあり?、職場以外で過ごす時間は長くなりつつある。
そんな中、男子が家事や子育てを分担するべきでない、という主張に説得力はない。
とはいえ、それにより「山か子育てか」という問いに答えが出ることもない。
そもそもそんな二択は存在しないのだ。
つまりるところ、人生の「主」は誰であるか、ということではないだろうか。
自らの判断で選択し、自らの人生を自らの責任で全うするのだ!
「子育てや仕事が忙しいから、山に行けない」のではない。
「仕事や子育ての方が山よりも重要だから、山には行かない」
もしくは
「両立する管理能力がないから、山に行けない」のだ。
主体的に人生を送るのである。
家の主が誰であるかはさておき、人生の主は、恋人じゃない、親でも(妻でも子でも)ない!
ねぇ、そうでしょ?
で、かくいう私の8月は子育てや引越しでとても忙しく、山には一度も行けませんでした。ガッデム!
その間、私はローンを組み、東京の端にマンションを購入した。
そう、昨年まで車に住み、ろくに働いていなかった私がマンションを購入したのだ。。。フレッド・ベッキーが隣にいたら、このブレまくりの人生をなんと評するだろうか。しかし、人生に後戻りはない。あとはサブプライムローンにならないよう、樽がちびちびとウィスキーを吸うように、数十年かけて少しずつ返済していくのみ。行くしかない。
ところでなぜ唐突にこんな大きな決断をしたかというと、やはり子供である。最近の住宅ローンには団体信用生命保険なるものがあり、債務者(この場合私)が死亡したとき等に債務が免除されるのだ。つまり、万が一のことがあっても、妻子にはとりあえず住む家が残るのである。妻はまだ自分で働いたり、再婚したりして生きる道はあるだろうが、子供は無防備だ。
※引っ越しで行き場を失ったフィンガーボード
危険な遊びを続ける以上、冬までに最低限の準備をしておく必要があると思っていた。
書類の作成、保険への加入、炎天下の引越し。つらく長い準備だったが、これで冬の活動に向けて一歩進むことができた。あとは、いかにして自由な週末を作れるかである。
スキーシーズンまであと2ヵ月と少し、地道な準備が続く。